ペルーのリマ市のある貧困層の老人ホームを訪問したときのことです。
施設の中を一通り回った後、庭を案内されました。
羊もいれば、鶏もいました。半分を自給自足で賄っているので野菜畑や果物の木も
ありました。
可愛らしいウサギを抱っこしている施設の女性がいたので、「可愛いうさぎですね」
と声をかけると、向こうにまだいっぱいいるというので、他の案内を打ち切ってウサギ小屋に向いました。
駆け寄ると身を乗り出すように金網のところに近づいてきました。
みんな可愛いので、ウサギたちは、ここにいる老人の人を慰めるために飼育しているのだと
思っていました。
「お年寄りの人たちはうらやましいですね、こんな可愛いウサギと一緒に過ごせるんですから」と
言うと、そんなに好きなら、この中で一番好きなウサギを選べと言われました。
選んでも日本は、入国のとき、検疫がうるさいと説明すると「いや、これから昼食でご馳走するから」
と言われてびっくりでした。
これは全部食用だったのです。
職員の人が抱っこしていたのは、可愛いからではなく、食べごろのウサギを探していたということでした。
日本ではウサギはペット用で食べないというと、ここにいる人たちが逆に驚いていました。
本当においしいから、味見をしてみろと言われましたが、断りました。
飼育している女性に、抱っこしているウサギを指差して、
可愛くないのと尋ねると首を横に振っておいしそうに見えるということでした。
文化の違いを感じました。
しかし、日本人は馬を食べるというともっと驚かれました。
このウサギたちは、もうこの世にはいないと思います