2011年の成果
ペルーの貧困地域の保育園内に給食施設を完成
2011年4月にペルー リマ市の貧困地区にある熊本保育園にペルーでは初めてに日本スタイルの給食施設が完成しました。
これは、熊本の?近代経営研究所の栗谷利夫所長、崇城大学の中山学長を始め、たくさんのかたのご支援とペルーの人たちの協力で、完成させることができました。
誠にありがとうございました。
プロジェクトの発端
2008年6月、ペルー熊本保育園は、ちょうど、園児たちのお昼の時間でした。子どもたちは、グループごとテーブルに分かれて、持参してきた弁当を食べ始めました。家庭が豊かな子は、サンドイッチなどを持ってきていましたが、ほとんどの子は、バナナやオレンジなどの果物だけの子もいれば、お菓子がお昼だという子もいました。
しかし、各テーブルに2,3人ずつぐらい、机の上に何も食べ物がない子がいました。園長先生に尋ねると、貧しくて、食べ物を持ってくることの出来ない園児たちでした。
←給食施設 完成前の昼食時間の風景 ※ 左手前の男の子はお弁当を持ってきていません
先生たちは、ルス先生(熊本保育園の先生)の日本招聘あの子たちにもお昼を食べさせてあげたいけど、私たちの給料では、毎日あの子たちに食事をあげることは出来ないから、じっと見ているだけだという答えでした。食べ物を持ってくることができない子の家庭の親の収入は1日あたり2ドル程度で、1日に1食も食べられない子どももこの中にはいました。
友だちの食事が終わるまで、机に向かって、小さい背中を丸めて、じっとうつむいたままの姿は、見ているだけで心が痛みました、1日の中で、1番楽しいお昼の時間が、彼らにとっては、最も苦しい時間でした。彼らはその時間を過ぎ去るのを待つのが日課で、保育園をよく休むのも、昼食を持参できない子どもたちの特徴でした。
小さい身体で、必死に耐えていることが、見て入る私にも、ひしひしと伝わってきて、心苦しくなりました。
このような残酷な光景を毎日、見なければならない先生たちの心中を察すると、保育園を後にするとき、今まで自分がこの保育園に、すべり台を寄付したり、玩具、勉強用具してきたことなどは、この食べ物を食べれない子どもたちにとっては、何もしてくれてないことと同じことのような気がしました。
日本に帰国してからも、うつむいていた子どもたちの姿を忘れることが出来ず、自分に何が出きるのだろうかと考え、そのとき、日本の給食を思い浮かべ、このプロジェクトを考えました。
しかし、ただ給食施設を作るのではなく、せっかくであれば、日本の文化を伝えたいと思い、?近代経営研究所の栗谷利夫所長にご協力いただき、2010年、ルス先生を日本に招聘して、日本の幼稚園を見学してもらいました。熊本保育園の給食時間では、その成果が出ていました。園児たちの歯ブラシ、手洗いの実行でした。彼らのほとんどは、貧しいゆえに家庭では、そのような習慣がありませんでした。また、ゴミ箱もペットボトル、燃えるゴミ、燃えないゴミと分別してあり、
保育園の園庭には、花まで植えてあり、百聞は一見にしかずというのは、そのとおりだなと思いました。
園児の学力と体力
給食を始めて三ヶ月、園児たちの体重の増加や身長、体力が、全部普通になったと先生たちは大喜びでした。それまでの記録を見させていただくと全部が他の地域の園児たちより、劣っていました。
宿題も今までは、やってこなかった子が多かったそうですが、給食を始めて、ほとんどの園児がやってくるようになって、学力も増したということでした。
子どもたちが、みんな明るい笑顔になっているのは印象的でした。
父兄の協力
園長先生が驚いたことの一つにお母さんやお父さんの協力があったことだと言っていました。今までは無かったことだし、料理を作ることや運ぶことをお母さんたちがやってくれて、食材も積極的に持ちよってくるそうです。保育園の前に空き地があり、地域のお祭りや催しものは、そこの空き地で行われます。先生やお母さんたちは、給食施設で料理を作って、お祭りの時などはそれを売って保育園の運転資金として貯金しているということでした。
市役所などの公共機関の支援
今回の給食施設の完成によって、市役所が歯ブラシやタオルを寄贈してくれました。
またプロナーという政府の支援機関があり、砂糖やミルク、食用油、小麦粉などの調味料や食材はそこから支給してくれます。
現在の保育園の状況
給食を食べられるということが評判となり、入園希望の家庭が増えました。教室が足りないのでどうしたらいいか、悩んでいるそうです。
今までは、お金が足りなくなると、寄付して欲しいというメールが来ていましたが、給食施設が出来てから、一回もそのような寄付を要請するメールが来なくなりました。
自分たちで自立してやっていこうという姿勢を感じます。
最後に
2008年、ペルーを訪問したとき、リマに長く住んでいる日本人の人から、貧困地域の子供たちを支援しているために来ていると話すと、ペルーの貧乏人は怠け者だから支援しても無駄、無駄と吐き捨てるように言われたことがありました。
ある人からは、彼らは、物を貰うのが当たり前に思っているから、感謝もなにもしていないよとも言われたことがありました。訪問した学校の中には、そういう学校もありました。しかし、ペルー熊本保育園のように、感謝して、自分たちで立ち上がっていこうとしている人たちもいました。環境を整えることにより、真面目に生きていこうとしている人は、どこの国でもいるということを実感しました。
先生たちやお母さんたち、ペルーの人たちの感謝の気持ちを心にしっかり受け止めて、2012年の新たなプロジェクトを開始したいと思います。
←2012.12.12 クリスマスプレゼント寄贈
ペルー日系人の人たちとの協同で新たな支援活動が始まりました。
NPO法人 アミスタ・ペルーとニッポン
理事長 松本 弘二郎